ウクライナのスケルトン選手ウラディスラフ・ヘラスケビッチが、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの出場を禁止された。戦争で命を落とした同胞アスリートへの追悼メッセージを込めたヘルメットが、IOCの規定に抵触したためだ。
ヘラスケビッチは練習走行で、ロシアのウクライナ侵攻で犠牲になったアスリートたちの写真をあしらったヘルメットを着用していた。「今日、私たちがスポーツやオリンピックを楽しめるのは、彼らの犠牲があったからこそだと心から信じている」と選手は語った。
国際オリンピック委員会(IOC)は、政治的表現を禁じるオリンピック憲章第50条に基づき、本戦でのヘルメット使用を認めなかった。IOC関係者は「彼が伝えたいメッセージの内容が問題なのではなく、単純に場所の問題だ」と説明している。
IOCが提示した代替案
IOCはヘラスケビッチに対し、インタビュー時にヘルメットを持参する、黒い腕章を着用するなど、別の追悼方法を提案した。しかし選手はこれらの代替案を受け入れず、結果的に競技への参加を断念することとなった。
BBC Sportの取材に対し、ヘラスケビッチは「空虚感を感じている」と心境を明かした。ソーシャルメディアには「これが私たちの尊厳の代償だ」と投稿し、自らの決断への思いを綴った。
ゼレンスキー大統領が支持を表明
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの決定に反応し、IOCを批判した。大統領はIOCが「ロシアの侵略者の手に乗っている」と非難する一方、ヘラスケビッチの行動に感謝の意を示した。
オリンピックにおける政治的表現の是非は、長年議論されてきた問題だ。アスリートの表現の自由と、スポーツの政治的中立性をどう両立させるか。ミラノ・コルティナ大会を前に、この古くて新しい問いが再び浮き彫りになった。
